閉鎖病棟で見えなくなった、音楽と私の関係。

3ヶ月の閉鎖病棟生活。

平日1日1時間半、OTと言う時間がある。

CDを聴けたり、OTの職員さんが録画しておいてくれた年末年始の音楽番組を見れたり、雑誌を貸してもらえたり、塗り絵をさせてもらえたり。

 

f:id:happyyukorimu:20240420012530j:image

「こんなの気休めじゃねーかよ!」と言いながらも、ちゃっかり参加。だってその時しか音楽も聞けない、文字も読めないんだもん。

 

そうそう、そういえば私は新卒でとあるレコード会社に入ったんですね。そう、夢の「音楽関係の仕事」です。

 

ダントツの第一志望だったから、合格通知が届いた時は、家のベッドの上で1人、涙が止まらなかったのを覚えてる。なぜか幼き日に亡くなった父のおかげな気がして、私の力では倍率自分が受かるはずがない気がして、ひたすら父やご先祖様のおかげな気がして、「ありがとうございます」って泣きながら言ってたの笑。

 

あとは、神社に感謝と報告しに行ったりしてた。就活してる時もなぜか神社に本読みに行ってたな。私のパワースポット。そして第一志望の会社に受かったからには、急に信心深くならざるを得ないほどの大ニュースだった笑。

 

でも、その会社では良いことも悪いことも沢山あって、なんかカッコよく言うと「トラウマ」にもなっている。大好きな思い出の場所でもあり、トラウマの場所でもあり。

 

だから、OTの時間が辛くて辛くてね。

CDを聞いても必ず某社の音楽がかかるし、

テレビからも必ず某社の音楽が聴こえてくるし、

雑誌を見ても必ず某社のタレントさんがこちらを向いて微笑んでるし。

 

あ、なんか今ポルノの「美人が意味ありげな微笑、赤い赤い口紅でさ〜」と言う歌詞を思い出した。ポルノ、天才だよねぇ、、、。

 

そんなこんなでね、OTの時間でも、昔働いてた会社の音楽や芸能人やらなんやら、嫌でも目に入ってくる!!

 

なんなら、仕事やこれまでのことや、とりあえず忘れて「徹底的に療養しましょう」と閉鎖病棟に入院させられてんのに、

 

OTで、音楽番組見て、普段忘れてるような過去を思い出して、フラッシュバックして、逆効果も逆効果!気狂うかと思ったわ。もう狂ってるけど。

 

OTの人が良かれと思ってやってくれてる療法が私には逆にキツくて、「音楽が好きなのに音楽を聴くと泣けてきて嬉しくもなるけど辛くもなって余計に胸が締め付けられるってどんだけ辛いの!」って思ってシクシク泣いたこともあった笑。

 

みんなは「わーい!OTの時間だぁ!」って楽しんでたけど、私はOTの時間は1人でベッドにいることが多かったな。

 

でも、いい曲との出会いもあった。

それは米津玄師の「飛燕」。

あとは、RADWIMPSの「前前前世」は、自分の子供であり亡き父からの私へのメッセージだと思って(子供は父の生まれ変わりであるという設定で)聴くと、涙が止まらなくなることもわかった。

 

前の入院では宇多田ヒカルの「あなた」、テイラーの「Wonderland」。普段聴けねていなかった名曲を探せる時間があると言うのはプラスな面かもしれない。

 

学生時代を思い出す。鬱々としていて、将来に期待などできず、友達も親もなんか会話が合わなくて、会話が合う友達は学校に来てなくて笑。

 

とにかく人のことがよくわかんなくて、ひたすら音楽に没頭して「人は裏切るけど音楽は裏切らない」と、いろんなJPOPを漁っていた学生時代。

 

そんな日々を思い出しながら、そういや、社会人になってからママになって、なかなか新しく「好きな音楽」なんて探せてなかったなと思って、OTの時間は、「CDを順番通りに全部聞く」というのもやってみた。

 

サブスク時代、今の人はそんなことやらないだろうけど、私が学生時代なんかは、その曲と曲との間合いや、0.1秒単位の空白や、なぜこの曲順なんだろうとか、そんなことまで、作家の意図を汲み取ってみたくて、答えを知る術はないけど、自分なりに仮説をたてて楽しんでいたのにな。

 

そう言う音楽の楽しみ方を思い出したと言う点で言えば、閉鎖病棟のOTも良い時間だったのかもしれない。

 

ただ、CDデッキで、めちゃくちゃ安いヘッドフォンで聴くから、音がシャカシャカすぎて、、、なんだかそれも昔懐かしい感じがしてよかったな笑。

 

そうそ、米津玄師の「飛燕」は、「わー!久々にめっちゃ好きな曲に会えたー!」って感じで。その曲でさえ、やっぱり私が昔から好きだったアーティストに影響されたであろう雰囲気があって。新しく出会った曲なのにまたトラウマ出ちゃったりして笑。

 

「音楽、大好きなのに聴いたら傷つく。JPOPもクラシックも、良い思い出も悪い思い出もありすぎる。この音楽との複雑な関係に名前をつけて、きちんと自分の中に保存することができる日は来るのだろうか。そしてそれは、どんな時なのだろう」なんて考えている、眠れない午前2時。