どこにいたって息苦しいのが人生かな?

正直関西での生活は息が詰まる。いや、考えてみると東京でも息が苦しかった。そういや、どこにいたって、何歳の時だって、なんか息が詰まってる。

 

私は兵庫県の西宮市出身。村上春樹と同じだという点においてだけ自慢したいので、あえて「夙川に住んでました」と行っておこう。

 

憧れの街ランキング上位に入っているけど、住んでみると、旦那が医者や経営者の「ちょっとしたお金持ち」の奥様方のマウントで忙しい街。

 

旦那の職業、子供の学歴成績、容姿、色んなことで比べあってる。お金があって暇を持て余した専業主婦がほとんどだから、だいたいイタリアンやフレンチのランチは平日でも混んでいて、そこでマダムもどきが比べ合っている。自分は仕事をしたことがないから、自分のことでは比べ合う場所すら持ち合わせていない。うちの母も例外なくそういう人だった。

 

そんな、私にとっては悪い思い出しかない街。「村上春樹が住んでたらしいです」「桜が綺麗です」それくらいかな、我が故郷の自慢。

 

「あんたは勉強できないから自慢できるところがない」と、母親から「自慢できない子供だ」と、道具のように扱われてきたな。そんな母を育てた街。

 

高級住宅街とはいっても年収億単位のお金持ちはそうそういない。夙川、芦屋、苦楽園は嫌味を込めて「ムーミン谷」と呼ばれている。「小さな村で比べ合っている寂しい人たち」という意味。外からはそうやってバカにされてるそんな街。

 

もちろんそんな比較に参加しない人もいたと思うけど、私の母はそういうタイプだったので、その子供としてガッツリ悪影響を受けた。

 

子供を比べる親の元に生まれると、常に子供は親に「自分の所有物(つまり物)を比べるかのように他人と比べられる」ので、自分のことを物のように認識し扱い始めてしまうという障害が生まれる。私も自分のことをなんだか大切にできない時がある。そのせいなのかはわからないけど。

 

成績や何か才能に長けていたら「良い商品」、自慢するところがなければ「粗悪品」として家の奥に隠される。それが私だった。「恥ずかしい子供」として、怒られる。

 

私がライターを続けられなかったのもその影響が大きい。というのも、ライターとして、ある程度上手く行ってきた瞬間、母がいきなり私のことを友達に自慢しだした。これまで「出来の悪い子」とひた隠しにされて罵倒されてきたのに、まるで自分の手柄かのように。有名人のインタビューもしてたから、ミーハーな母は大喜び。

 

「私は物じゃない!」

「あなたの育て方のおかけでライターができてるんじゃない!」

 

ライターとしてのキャリアをそれを全て捨ててでも、親の手柄にされるのが嫌だった。

 

私が上手くいってない時は私のせい、私が上手くいってる時は親の手柄、、、そんな具合。はぁ、息苦しいのは土地のせいじゃなくて母の存在のせいだったのかも。今も生きてると思うけど、おそらく死んでも母は私に息苦しさを与え続けるだろう。母の存在はそれほどまでに子供に大きな影響を与える。

 

母になった私は、そうならないように今必死で、たまに気が遠のきそうになる。

 

「私は母親と縁を切らないと、一生何があっても、何が上手く行っても自分の手柄のように語られるんだ」と思うとゾッとして、親と縁を切る方法を色々と探すようになった。

 

娘にはそんなふうに思われないような母になりたい。今はそれが目標だと思う。

 

先月まで閉鎖病棟に入院してたけど、そういう入院をする人、99%、親の影響がある。

主治医の先生は「典型的なパターンだ」と私の家庭環境を当ててきた。

 

インナーチャイルドって言葉知ってる?」

『はい』

「だいたいアル中の子供はそうなるんだけどね、お母さんアル中でしょ?」

『はい。料理作りながら毎日何本もワインとビールあけてましたね。酔ったら暴言吐くけど、あとで謝ってといっても、忘れちゃった〜酔っ払ってたから〜って言われてました』

「たぶん、そのお母さんの親御さんもアル中でしょ?」

『はい、母の父もアル中です。祖母が遺品整理してたら棚から大量の一升瓶が出てきて涙も出なかったと聞きました』

「やっぱりね。アル中の子供はね、あなたもだけど、心の中の子供がちゃんと育たないまま体だけ大人になってしまうことが多い。それが苦しさに繋がる。けど、あなたはアル中じゃない。だから、娘さんのために、あなたでこの負の連鎖を断ち切るんだよ。もう絶対に繰り返さないために、娘さんのために頑張るんだよ。そのための入院だから!」

 

と、すごく力強く言われた。

今考えると凄く良い先生だったなぁ。

高校生の娘さんがいるらしくて、良いパパなんだろうなっていう感じ。

 

そして、私と同じくその先生はavexやTKの曲が大好き(世代らしい)らしくて、「本当は医者より芸能界に詳しいんじゃないの?」ってくらい、私でも知らないような芸能人やJPOPの話を楽しそうにしてたな。

 

私も、会社勤めの頃はいろいろあったけれども、偶然出会った精神病棟の主治医でさえ、こんなに詳しいんだぁ、ファンなんだぁ、と思うと、そこに少しでも関われたということは、もしかしたら誇らしいことだったのかもしれないと、少しだけ自分を肯定できた気がした。

 

写真はそんな会社員時代、半分仕事、半分遊びでクラブに行った時。懐かしいな。この頃はこの頃なりに息苦しかったな笑。

 

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つづく(かも)